時が経ったせいか自分の気持ちを客観的に分析をしてしまう。
三池もどんな私でも夢中みたいに見えて、理系らしく後で自分の気持ちを分析してしまったりするのだろうか。そんな分析する暇もないくらいライオットには私をときめかせて欲しかった。彼が私の世界に転生する直前に『赤い獅子の裏話』を書くと私に告げたと言うことは、
自分が日本にいる時、私に気がついて欲しいというメッセージだと思った。「もっと、ラブレター的なものを期待していたのに。」私が彼と思い合っていると言うのは、私の勘違いだったのだろうか。『赤い獅子の裏話』のライオットはモテモテで、エレナは彼を一途に慕っていた。
エレナのキャラクターデザインがショートカットになっていたから、あれは私をモデルにしたのだろう。「何だか主人公が浮ついてて好きになれない。どうしてエレナの一途な気持ちと同等な気持ちを返してくれないのか。」読み取れたのはモテモテの彼を一途に思うエレナが彼にとっても、おそらく一番なだけ。主人公ライオットの愛は分散されているように見えて寂しかった。そもそも、みんなに好かれるなんて状況あるのかしら。
高校時代、人気者の三池を嫌いだった経験からすると、どんなに人格的に優れた人気者でもアンチはいるのだ。「にしても、方向間違ったかな。まだ到着しないなんて。あの、すみません、そこのエスパルの方、道をお尋ねしたいのですが。」
中央宮からかなり離れて人の気配がなくなっていたが、水色の髪色をした背の高い男性の後ろ姿が見えて話かけた。水色の髪色はエスパル出身者しかいなかったはずだ。皇宮で働いている人なのだろうか、鎖国状態で危険視されていたエスパルの人も受け入れているなんてアランは器がでかい。「私、エレナ・アーデンと申します。いにしえの図書館に向かっているのですがこちらで方向は宜しいでしょうか?」
私は優雅に彼に挨拶をしながら道を尋ねた。「俺のエレナ、俺が図書館までご案内しますよ。」爽やかなその美青年は微笑みながらそう言って、私を持ち上げてお姫様抱っこするとスタスタと